秋葉原無差別殺傷事件を考える
本シリーズは、この20年間隔月に休みなく開催されている「養育を語る会」での芹沢俊介の発言の「記録」が原形となっている。
この「事件篇Ⅱ」では、「秋葉原無差別殺傷事件」についての芹沢俊介の「発言」の全てを収めた。
事件直後の少ない情報の中で、「なぜ無差別なのか」に対する養育論的解析は、驚く程的を射抜いている。
さらに事件から6年を経て、加藤智大の無差別殺人に関して養育論でなければ解けぬ「なぜ」について緻密に練り上げた「発言」が2回にわたって行われた。
もし、加藤智大が親をなかんずく母親を殺していたならば、無差別殺人は起きなかったのではないか、と芹沢は語る。なぜなら加藤智大は、養育の段階で母親に子殺しされていたからだ、という鮮烈な養育論が本書では展開されている。
事件篇Ⅱ 目次
はじめに
秋葉原無差別殺傷事件を考えるⅠ― 「教育家族」
事件後一週間/過去に母親から受けた仕打ち/「いい子」になった子ども/「いい子」のパラドックス/特異な選択/親殺しには子殺しが先行している/ひきこもっていたら/派遣労働とリストラ/「つなぎ」がなくなった/存在論的な孤独
秋葉原無差別殺傷事件を考えるⅡ ― 手記を読む
第一部 言葉
事件の概要/人を殺すつもりではなかった/検察による供述調書の書き換え/秩序の思考枠/なりすまししつけ説/孤独説/クライン/受けとめ手として登場しない母親/意図と結果をつなぐ「実行」/事件の三つの要因/「トラブル時の私のモノの考え方」/相手に心理的な痛みを与える/しつけ
第二部 しつけという暴力
母親のしつけ/因果関係/身体的苦痛を与える/言葉がない/心と身体を結びつけるもの/中間領域を作れなかった/防御の手段/緊張と警戒心/とある夏休みの一日/やすらぎの欠如/「なんでそんなものを!」/自分を憎んでいる/母親の心の中に「正解」がある/しつけ1/しつけ2/しつけ3/しつけ4/しつけ5/しつけ6 ― 自殺願望の出現/しつけ7/しつけ8
秋葉原無差別殺傷事件を考えるⅢ ― 孤立と孤独
手記『殺人予防』について ― はじめに/掲示板の意味を問う/遊び場、そして命綱/友人とは誰ですか/真ん中がない人間関係/空白は埋めなければならない/孤独と孤立/孤独から目をそむける/孤立への恐怖の始まり/充実のローテーション/両親とはほぼ他人だが他人ではない/しつけが事件を起こす/「誰か」を見つける/スケジュール帳を持つ/「荒らし」「なりすまし」の登場/しつけに乗りだす/無差別殺傷事件を計画する/「やる理由」、「やらない理由」
刊行にあたって
書名 | 芹沢俊介 養育を語る 事件篇2 |
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発行日 | 2018年10月30日 |
サイズ等 | A5判 113ページ |
ISBN | 978-4-9910235-1-4 |
定価 | 1000円(税込) |